大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪高等裁判所 平成2年(行コ)15号 判決

京都市伏見区深草稲荷鳥居前町一七番地

控訴人

加藤建夫

右訴訟代理人弁護士

岩佐英夫

中尾誠

京都市伏見区鑓屋町無番地

被控訴人

伏見税務署長 多田甲子夫

右指定代理人検事

手﨑政人

同訟務官

行谷規斗志

同国税訟務官

秋本靖

同国税訟務官

的野珠輝

主文

原判決を次のとおり変更する。

被控訴人が控訴人に対し昭和五五年三月六日付でなした控訴人の昭和五一年分ないし昭和五三年分の所得税更正処分(昭和五三年分については裁決による一部取消後のもの)のうち別表〔所得額・税額計算書〕記載の各年分の認定額欄の総所得金額を超える部分をいずれも取り消す。

控訴人の被控訴人に対するその余の請求を棄却する。

訴訟費用は、第一、二審を通じてこれを六分し、その一を被控訴人の、その余を控訴人の各負担とする。

事実

第一申立

一  控訴の趣旨

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が控訴人に対し昭和五五年三月六日付でなした控訴人の昭和五一年分ないし昭和五三年分の所得税更正処分(昭和五三年分については裁決による一部取消後のもの)のうち原判決添付別表A1ないし3記載の各年分の各確定申告欄記載の総所得金額を超える部分をいずれも取り消す。

3  訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  控訴の趣旨に対する答弁

1  本件控訴を棄却する。

2  控訴費用は控訴人の負担とする。

第二主張及び証拠関係

当事者双方の主張及び証拠関係は、以下に付加、訂正する以外は原判決事実摘示とおりであるから、これを引用する。

一  原判決の補正

1  原判決二枚目表八行目の「大津市藤尾」の次に「奥町一七番地所在のマーケット『マイスターショッパーズ』内において」を、同裏三行目の「審判決定」を「審査裁決」と改め、同七行目の「行った。」の次に「すなわち、税務調査は、調査を行うべき合理的な理由と必要性がある場合に限って、かつその理由を開示した上でなされるべきであるのに、本件各処分に先立ってなされた調査は、全く事前調査なしに、しかも、具体的理由を一切示さないで行われたもので違法である。

原告としては、調査を頭から拒否していたわけではなく、後日調査に応じる旨二回にわたり明言していたものであって、被告から税務調査の理由が明示されておれば必要な帳簿も提示する用意があったのである。」を加える。

2  同六枚目表六行目の「株式会社菱食京都支店」を「株式会社菱食京都支店等」と改める。

3  同一五枚目裏五行目の「争う。」の次に「推計課税は実額課税が客観的な所得額の一致の蓋然性を個別的、具体的に追求するものであるのに対し、納税者が課税所得の実額を算定するに足りる帳簿書類等の直接資料を提出せず、税務調査に協力しない場合にやむを得ず真実の所得額に近似した額を間接資料により推計し、これを真実の所得額と認定する方法であり、一般的、抽象的な一致の蓋然性があることをもって足りるとするものである。したがって、推計の合理性を基礎づける事実も、ある程度類型的標準値によることになるのは止むを得ないところである。この標準値に吸収され得ない程度の著しい特殊事情が原告に存在したというのであれば、それを具体的に明示すべきであるのに、原告はこれを明示していないのであるから、原告主張のような事実があるとしても被告の主張する推計の合理性を覆えすことはできない。」を、同七行目の「本件記録」の前に「原、当番における」を、それぞれ加える。

二  当番における控訴人の新主張

被控訴人は、本件係争各年分の後続年である昭和五四年ないし五七年分の控訴人の所得につき、控訴人が提示した現金売上帳、掛売帳、総勘定元帳、給与支払明細書、原始伝票等の関係書類に基づいて売上、仕入れ等を調査した結果、昭和五五年及び同五七年分については控訴人の申告額どおり、昭和五四年、同五六年分については右調査結果に基づく控訴人の修正申告額をそれぞれ是認した。それによると、右期間における控訴人の所得率、原価率は別表1のとおりである。

ところで、右各年度と本件係争年度との間に、業者共通の経済事情の変化や納税者の事業内容、事業規模、事業場所等の推計すべき課税要件の算定に影響を与えるような事情についてはみるべき変化はなかったのであるから、右所得率、原価率によって推計する方が同業者率によって推計するより合理的であることは明らかというべきところ、右原価率のうち一番低い二八・〇三パーセントと、一番高い所得率一四・三九パーセントとを用いて控訴人の昭和五二、五三年分の事業所得額を推計すると別表1のとおりであって、昭和五二年分が五八六万九九六四円、昭和五三年分が四七四万五九一八円となる。

また、昭和五一年分の事業所得額については、同年末に控訴人が開店した山科店の特殊事情を考慮して修正した所得率一五・九五パーセントと原価率二八・〇三パーセントとを用いて推計すると四九四万三七九三円となり、いずれも本件各処分において認定された事業所得額を下回るので、その点からも同処分が違法であることが明らかである。

三  控訴人の当審における新主張に対する反論

1  右主張は、時機に後れた攻撃防御方法であって訴訟を遅延させるものであるから却下されるべきである。

2  控訴人の主張する本人比率による推計の比準年の所得税の確定申告はいわゆる白色申告であって資料の正確性が担保されておらず、別表1の各仕入金額の裏付資料も不明である。また、右比準年と本件係争各年の業界の経済事情や控訴人自身の事業規模や経営状態に変動がなかったとする根拠もなく(その点の立証は、時機に後れた攻撃防御方法として許されない)、本件係争年における原料仕入額も不正確である。そればかりでなく、控訴人の主張する本人比率に基づいて推計された昭和五一年、五三年分の所得金額は控訴人自らの確定申告額も下回っているのであって、その点からみても、右推計方法が合理性に欠けるものであることは明らかである。

理由

一  当裁判所は、被控訴人の本訴請求は、係争各年分の所得税更正処分(昭和五三年分については裁決による一部取消後のもの)のうち別表〔所得額・税額計算書〕記載の各年分の認定額欄の総所得金額を超える部分の取消を求める限度で正当であるが、その余は失当として棄却すべきものと判断する。

その理由は次に付加、訂正する以外は原判決の理由説示と同一であるから、これを引用する。

1  原判決一五枚目裏末行の「原告は」から同一六枚目表四行目末尾までを「まず、本件税務調査が違法であるかどうかの点について検討するに、所得税法所定の税務職員等の質問検査権の行使としての税務調査については、その実施の日時場所の事前通知、調査の具体的理由及び必要性の告知は法律上一律の要件とはされていないので、常にそれが要求されるわけではなく、調査の必要性と相手方の私的利益との衡量において社会通念上相当な限度にとどまる限り、それらの調査実施の細目は、権限ある税務職員等の合理的な選択に委ねられているものと解するのを相当とするところ、本件税務調査において被告の税務職員が事前通知と調査の具体的理由の告知なしに実施したことが、右限度を超えるものと評価すべき事情を認めるに足りる証拠は存在しないので、右の点が本件税務調査を違法ならしめるものということはできない。」と改める。

2  同一七枚目表八行目の「以下の事実」から同二〇枚目表九行目末尾までを次のとおり改める。

「(1) 原告は、本件係争各年とも主として茹麺(うどん)を製造販売していたものであるが、当時の茹麺(うどん)の一玉当たりの標準重量は二〇〇グラムとされ、一般に市販されている商品も一玉二〇〇グラムと表示されるのが通常であった。

(2) 被告は、本件について推計課税をするにあたり、小田聞多編著『めんの本』、藤村和夫著『基礎うどんの技術』、科学技術庁資源調査会編『三訂補日本食品標準成分表』(昭和五三年発行)、同編『四訂日本食品標準成分表』(昭和六二年発行)等を参照したが、右の各文献には次のような記載がある。すなわち、〈1〉製麺原料粉一袋(二五キログラム)当たりから取れる茹麺(うどん)の量は、煮崩れの多少、製品の硬軟等により多少の差が生じることはあるが、標準は三二〇玉(一玉二五〇グラム)である。〈2〉茹麺を茹でる過程においてそれが茹で上ったものと判断されるのは、これに含まれる水分が七五パーセントになったときである。〈3〉市販の茹麺の水分の標準は、包装から取り出して圧延し、二時間乾燥した後のもので七六・五パーセントである。

(3) 被告は、原告の麺類の製造販売による収入金額を算出するために、右の数値等を基に原判決添付別紙Aアに記載の二通りの方法で計算をし、それに基いて、製麺原料粉一袋(二五キログラム)につき三六〇玉(一玉二〇〇グラム)の茹麺がとれると推計した。

(二) しかしながら、成立に争いのない甲第六〇号証、第六三号証(第六三号証は原本の存在を含む)、原審証人宇野清晴の証言により成立を認める甲第二七号証、控訴人本人尋問の結果(原、当審)により成立を認める甲第三四ないし第四一号証、第六二号証、第六五号証(第六五号証の一枚目については成立に争いがない。)、第六九号証、第九八号証、検甲第二三ないし第二九号証、第三〇号なしい第三三号証の各一、二、第三四号証、第三五号証の一、二、第三六号証、第三七、三八号証の各一、二、第三九号証、第四〇ないし第四六号証の各一、二、第四七号証、第四八号証の一、二、第四九号証、第五〇ないし第五四号証の各一、二、第五五、五六号証、第五七、五八号証の各一、二、原審証人奥隆司、同宇野清晴、同辻井秀光の各証言、控訴人本人尋問の結果(原、当審)によれば、製麺(うどん)に用いる小麦粉の種類には地域差があること、関東地方では一般に強力粉が用いられるが、関西地方では煮くずれしやすい薄力粉が用いられることが多いこと、原料に薄力粉を用いる京都市及びその周辺の地域においては、消費者の好みなどから、実際に市販されている茹麺一玉の重量は、二〇〇グラムと表示されてあっても平均二二〇グラム程度となっているのが実情であり、その水分の含有率も七五パーセントに満たず、多めにみても平均七三パーセント程度であることが認められる。

(三) 被告が計算根拠とした前掲一(2)の各文献はいずれも客観的なものであって、被告の恣意の入る余地はなく、原判決添付別紙Aアの計算過程自体も妥当なものではあるが、右文献はその性質上全国的平均値を基礎とするものであって京都市及びその周辺の地域にそのまま当てはまるものとはいえないし、また、右認定事実によれば、この計算過程の基礎となる数値の一部に正確といえないものがあるといわなければならない。すなわち、茹麺一玉の重量は二〇〇グラムではなく二二〇グラムとして、また、茹麺に含まれている水分割合は七五パーセントではなく、七三パーセントとして計算すべきものであり、その数値を基礎として計算すると、原料粉一袋からとれる茹麺の数量は、歩留りでは三二七玉、水分割合による算定では三二一玉となるので、原告の係争各年の事業所得額の推計に当たってはこれを控え目にみて製麺原料粉一袋当たりの茹麺の収量を三二〇玉として総製造量を算定するのが相当というべきである。被告の主張する推計方法は、右茹麺の収量を前提とする限度においてその合理性を肯認することができる。」

4  同二二枚目裏一〇行目の「したがって、」の前に、「ところで、原告は、比準同業者がわずか三件では合理的な推計ができるはずがないと主張するところ、同業者の個別性を平均化し、近似値としての推計の合理性を高めるためには、比準同業者数は多いに越したことはないというべきであるけれども、数がたとえ三件であっても、その類似性が高くなれば実額への近似の蓋然性がそれだけ高くなる道理であるから、比準同業者の数が三件ということだけで、本件推計が合理的でないとすることはできないので、原告の右主張を採用することはできない。

さらに、原告は、右三名の同業者は特定可能であって、製造品目、取引先、営業形態、営業経験、保管のための冷蔵庫の有無等その業態が異なることが明らかとなっているので、これらの同業者と原告との間には、類似性がなく、同業者比率法による被告の推計には合理性がないとも主張するところ、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる甲第六七、六八号証、当審証人今井俊雄の証言、控訴人本人尋問の結果(原審第一回)によれば、比準同業者三名の特定は可能であり、かつ、それら特定の同業者と原告との間に原告主張のような点において差異が存することが窺われないではないけれども、事業規模、立地条件、主たる取扱商品において近似していることは比準同業者の前記選定過程からも肯認することができるばかりでなく、右同業者間にもその業態において一定の差異が認められるにかかわらず、原判決添付別表A7のとおりその原価率、一般経費率にはわずかの偏差しか存しないことが認められるのであって、これらの点からすれば、同業者三名との間の右程度の業態の差異は、原告の事業における原価率、一般経費率に影響を及ぼすほどのものではないとみるのが相当であり、しかも、その他に、右経費率等に影響を及ぼす可能性のあるような特殊事情が原告に存在することを認めるに足りる証拠は見当たらない。」を加える。

5  同二三枚目表五行目冒頭から同裏一〇行目までを以下のとおり改める。

「証人林俊生の証言により真正に成立したものと認められる乙第三八号証の一ないし一一、第三九号証の一ないし一二、第四〇号証、控訴人本人尋問の結果(当審)及び弁論の全趣旨によれば、原告の本件係争各年分の製麺原料粉の仕入先とその金額は別表2のとおりであって、被告主張の仕入先のほかに池田屋穀粉株式会社があり、同社からのそば粉の仕入金額は、昭和五一年は三三万四三〇〇円、昭和五二年は三八万四三〇〇円であり、その袋数は、他の仕入先の袋当たり単価からみて、昭和五一年分は五五袋、昭和五二年分は六三袋を下らないものと推認されるから、原告の所得の推計に際してはこれを加算すべきである。そうすると、製麺原料粉の仕入数量は、別表2のとおり、昭和五一年分が三〇八四袋、昭和五二年分が三六七七袋、昭和五三年分が二八〇八袋となる。

右認定の製麺原料粉の仕入数量を前提に原料粉一袋当たりの茹麺の収量を三二〇玉として係争各年分の総製造量を算定すると、別表3の(1)ないし(3)の総収入金額欄の計算内容当記載のとおりとなるところ、前掲乙第四一号証、第四四号証、成立に争いのない乙第一五号証ないし第一七号証、第二〇号証、証人林俊生の証言により真正に成立したものと認められる乙第四五号証、第四七号証、第六八号証及び弁論の全趣旨によれば、別表3の(1)ないし(3)のとおり、麺類製品の卸売のうち掛売の数量と金額は昭和五一年分が六七万一八四九玉で一九〇一万一六八七円、昭和五二年分が七二万九五一四玉で二一二〇万八〇〇二円であること、昭和五七年分の総売上(小売を含む)と卸売のうちの掛売、現金売の各数量はそれぞれ九五万〇二七三玉、六七万〇二一八玉、一九万一〇二五玉であること、現金卸の売上単価の合計を卸売件数で除した現金売の平均単価は原判決添付別紙Aイ〈1〉、同Aエ〈1〉のとおり昭和五一年分が三四・〇七円、昭和五二年分が三五・〇四円、昭和五三年分が三八円であること、小売の標準単価は昭和五一年分、同五二年分が各四五円、昭和五三年分が五〇円であること、スープ類の仕入金額に対する売上の比率は一一〇パーセントであることがそれぞれ認められるから、原告の本件係争各年分の麺類の製造販売による収入金額を原判決添付別紙Aイ、Aウ、Aエに記載した方法と同様の方法で計算すると、別表3の(1)ないし(3)の麺類製品の各総収入金額欄記載のとおりの金額となる(但し、各売上の数値の算出については、原告の昭和五七年分の売上の比率《少数点五桁以下切捨》を用いた)。」

6  同二四枚目表七行目全部を「本件係争各年分のうち池田屋穀粉株式会社以外の仕入先からの収入原価については当事者間に争いがないところ、これに、原告の自認する池田屋穀粉株式会社からのそば粉の仕入額(昭和五一年が三三万四三〇〇円、昭和五二年が三八万四三〇〇円)を加算したものが総収入原価となる。)と、同一〇行目冒頭から同裏四行目末尾までを「前記五1(一)で認定した麺類の製造販売に関する収入金額に前記四3で求めた同業者の平均一般経費率(原判決添付別表A7)を乗じると、原告の本件係争各年分の麺類の製造販売に関する一般経費は、別表3の(1)ないし(3)の麺類製品の各一般経費欄記載のとおりの金額となる。」と、それぞれ改める。

7  同二四枚目裏六行目冒頭から同二五枚目表二行目末尾までを「前記五1(二)で認定した茶製品の収入金額に前記四2で求めた同業者の平均一般経費率(原判決添付別表A10の1、2)を乗じると、原告の本件係争各年分の茶製品の販売に係る一般経費は、別表3の(2)及び(3)の茶製品の各一般経費欄記載のとおりの金額となる。」と改める。

8  同二六枚目表四行目の「利子割引料」の次に「(別表A13参照)」を加え、同一〇、一一行目の「昭和五三年九二六三八五円」を「昭和五三年九二万六三三五円」と、同裏五、六行目の「昭和五三年一〇九万七六七六円」を昭和五三年一〇九万七六二六円」と、同二七枚目裏末行冒頭から同二八枚目表一行目末尾までを「したがって、原告の本件係争各年分の特別経費は別表3の(1)ないし(3)の麺類製品の各特別経費の合計欄記載のとおりの金額となる。」と、それぞれ改める。

9  同二八枚目表六行目の「原告の」から同一〇行目の「となる。」までを「原告の本件係争各年分の事業所得金額は、別表3の(1)ないし(3)の事業所得金額欄記載のとおり、昭和五一年分が七五九万八九五〇円、昭和五二年分が九六四万二〇一四円、昭和五三年分が九〇三万七五〇二円となり、本件全証拠によっても、分離課税所得分を除き、他に各種所得が存在することを認めるに足りる証拠はないから、右各金額が各係争年分の総所得金額となる(別表〔所得・税額計算書〕参照)。」と改める。

二  当審における控訴人の新主張について

右主張は時機に後れて提出した攻撃防御方法というべきであるが、そのために特に訴訟の完結を遅延させるものとも認められないので、以下その当否について判断するに、控訴人の主張する本人比率による推計の比準年の所得税確定申告(修正申告を含む)にかかる所得金額は一応被控訴人において是認されたものとはいえ、もともと正確な資料にもとづいて算出されたものでないばかりでなく、各仕入金額の裏付資料も不明であること、昭和五五年分については、売上金額の裏付けとなる資料が提出されていないこと(甲第三一ないし三三号証と弁論の全趣旨により認める。)、昭和五七年分については申告書の控えに売上金額の記載がなされていないこと(右甲第三三号証により認める。)等の諸点からすれば、右推計方法の方が被控訴人主張の本件同業者比率法より適正な推計方法であるとはにわかに断定しがたい。

三  そうすると、被控訴人のした本件各処分は、前記認定の総所得金額(事業所得金額)の限度においては適法であるが、これを超える金額の部分については違法として取り消すべきであり、被控訴人の本訴請求を全部棄却した原判決はその限度で不当であるから、原判決を右のとおり変更することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民訴法九六条、九二条本文、八九条を適用して主文のとおり判断する。

(裁判長裁判官 藤原弘道 裁判官 白井博文 裁判官 岡原剛)

別表

所得・税額計算書

〈省略〉

別表1

控訴人の関係年の原価率、所得率内訳

〈省略〉

別表2

製麺原料粉の仕入内訳

〈省略〉

別表3の(1) 事業所得金額計算の内訳書-昭和51年分

〈省略〉

別表3の(2) 事業所得金額計算の内訳書-昭和52年分

〈省略〉

別表3の(3) 事業所得金額計算の内訳書-昭和53年分

〈省略〉

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例